映画『2001年宇宙の旅:2001: A Space Odyssey』の見どころと考察・感想

SF

『2001年宇宙の旅』原題:2001: A SPACE ODYSSEY は1968年公開のSF作品。監督はスタンリー・キューブリック、脚本はスタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラーク。1968年のアカデミー賞で「視覚効果賞」を受賞している。

のちのSF映画に大きな影響を与えた作品でもあり、哲学的なテーマや壮大な音楽、今の時代から見ても遜色のない映像美などで、映画史に残る不朽の名作です。

作品情報

監督:スタンリー・キューブリック
製作:スタンリー・キューブリック
脚本:スタンリー・キューブリック、アーサー・C・クラーク
撮影:ジェフリー・アンスワース、ジョン・オルコット
特殊効果監督:スタンリー・キューブリック
SFX:ウォーリー・ビーバーズ、ダグラス・トランブル、コン・ペダースン、トム・ハワード
プロダクション・デザイン:トニー・マスターズ、ハリー・ラング、アーネスト・アーチャー
編集:レイ・ラヴジョイ
特殊メイク
:スチュアート・フリーボーン
衣装:ハーディ・エイミーズ
配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
公開:1968年
上映時間:148分
製作国:イギリス、アメリカ合衆国

キャスト

フランク・ボーマン:キア・デュリア
フランク・プール:ゲイリー・ロックウッド
ヘイウッド・R・フロイド博士:ウィリアム・シルベスター
猿人〈月を見るもの〉:ダニエル・リクター
アンドレイ・スミスロフ:レナード・ロシター
エレナ:マーガレット・タイザック
ラルフ・ハルバーセン:ロバート・ビーティ
ビル・マイケルズ:ショーン・サリヴァン
HAL9000(声):ダグラス・レイン
作戦管制官(声):フランク・ミラー
スタント:ヴィル・ウェストン
月面シャトル船長:エドワード・ビショップ
プールの父:アラン・ギフォード
プールの母:アン・ギリス

『2001年宇宙の旅』のあらすじ

猿人たちはのちにアフリカと呼ばれる荒れ果てた土地で、岩穴に住み、襲ってくる猛獣に怯え、飢えに苦しみながら生活をしていた。

ある日の朝、目覚めた猿人たちの前に見慣れない「黒い石板(モノリス)」が出現する。そして、そのモノリスに触れた猿人たちにある変化が起こった。

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宇宙評議会のヘイウッド・フロイド博士は月面で発見された石板-モノリスの極秘の調査のため、月面のクラビウス基地に向かっていた。

モノリスは400万年前から月面に埋まっていたと考えられ、強力な電波を木星に向けて発していた。

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18ヶ月後、宇宙船ディスカバリーは木星への旅の途中にあった。乗組員は船長デヴィッド・ボーマン、副船長フランク・プール、そして木星に着くまで人工冬眠カプセルに入っている3人の科学者。ディスカバリーの制御、生命維持には、今までにミスをしたことが一度もないという史上最高の人工知能「HAL 9000」が担当している。

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木星への旅は順調に進んでいたが、ある時HALはボーマンに対して、この計画に対して疑問を持っていることを告げる。ところが、HALとの会話の最中にディスカバリーのアンテナの部品が間も無く故障をするだろうと告げる。

ボーマンは船外に出てアンテナの部品交換作業を行い、取り外した部品の検査をするが部品に異常がないことが判明する。ボーマンとプールはHALの能力に疑問を持ち、最悪の場合、任務に必要な機能だけを残し、HALの機能を停止させることを決める。ところが二人の会話はHALに知られていた。

『2001年宇宙の旅』の見どころ

本作は公開当時から、難解な映画として話題になりましたが、半世紀以上たった現在でも見劣りのしない評価の高い作品です。

モノリスが人類に与える影響

400万年前、荒れた土地で飢餓に耐えて生活していた猿人たちの前に現れたモノリスは、見えない力によって骨を武器として使えることを教えます。

獲物を倒すことで、草食だった猿人たちは肉食を覚えます。それによって猿人たちから飢餓が遠のいていくのです。そして猿人はヒトとして進化することになり、400万年後の現在、宇宙へ進出するまでになります。

そしてまた再び、人間の前にモノリスが現れるのです。再度の登場でモノリスは人間にどのような影響を与えるのでしょうか。それは作品の終盤に描かれます。

人工知能「HAL9000」の脅威

木星へ向かう探査船ディスカバリーは人工知能搭載のコンピューターHAL9000によって全てが管理されています。HAL9000は製造されてから一度もミスを犯したことがない完璧なコンピューターだと紹介されます。

そのHAL9000がボーマンに対して、立ち入ったことと前置きして、この任務に対して疑問があり腑に落ちないというのです。そしてそのやさきアンテナ部品の故障を予測しますが、その予測が間違いだと判明するのです。そのことでボーマンとプールはHAL9000に対して不安を覚えます。

HAL9000は異常なのでしょうか。それとも高度なコンピューターであるHAL9000は意識を持つようになったのでしょうか、興味あるとことです。

この映画のテーマ

この映画では人類と地球外知的生命との出会いを描いています。いわゆる「第三種接近遭遇」です。スタンリー・キューブリック監督は最初から今までにない作品にしたいという意志を持っていました。この作品ではSF小説家であり科学者でもあるアーサー・C・クラークと組むことでそれが実現しています。

二人がタッグを組むことで、この映画が質の高い作品となり、今までのSF映画のように、単純に空飛ぶ円盤に乗って宇宙人がやってくるという物語で終わっていない、哲学的な奥の深い映画になったのでしょう。

『2001年宇宙の旅』の考察・感想

映画『2001年宇宙の旅』と小説『2001年宇宙の旅』

映画『2001年宇宙の旅』には小説が存在します。原作?というとそうではないのです。映画が公開された後に出版される小説を「ノベライズ」といいますが、ノベライズでもないのです。

元々、脚本の前に小説を書き上げる予定だったようですが、脚本と同時進行になったようなのです。中には撮影されたフィルムを見てそこからフィードバックすることもあったようです。結果、小説の出版は映画の公開の数ヶ月後になったようです。

映画版と小説版の違い

映画の撮影と小説の執筆が同時進行であれば、内容は同じだろうという事になりますが、大きな違いがあります。実は目的地が違うのです。映画では木星を目的地としていますが、小説では目的地は「土星」なのです。

土星といえば輪のある惑星として有名です。もしこれが実現していれば雄大な風景が見られたことでしょう。では、なぜ土星から木星に変更になったのでしょうか。

映画でも、最初の目的地は土星になる予定だったのです。ところが、SFXチームの土星の出来にキューブリック監督は満足しなかったそうです。ということで、土星から木星へ変更になったということです。

土星の映像を作成するのに、SFX担当のダグラス・トランブルは「ジュピター・マシン」という装置まで開発したのですが、土星の輪の映像化がうまくいかなかったということです。

そして、土星から木星へ変更となるのですが、『2001年…』の4年後、1972年にダグラス・トランブルは監督として『サイレント・ランニング』を制作していますが、この映画の中で土星を映像化しています。

見てから読むか、読んでから見るか!

なんか1970年台の角川映画みたいですが、おすすめは「見てから読む!」です。

この作品は2時間半近い比較的長尺な作品なのですが、映画の中で起こる現象や事件に関して説明はほぼありません。見るもの一人一人に考えを委ねるといった感じです。この映画は公開されて半世紀以上たった今でもいろいろな考察がネット上に見受けられます。また、そういった考察をすること自体が楽しい映画であるのです。

かたや小説はどうでしょう。当然ですがクラークは物語を丁寧に描写しています。この物語での考察のポイントになるのは、モノリスとHAL9000の振る舞い、そしてラストの展開になりますが、小説ではそれぞれ詳しく描写されていてとてもわかりやすくなっています。

映画を先に見た方がいいというのは、先ほども書いたようにこの作品が「考察が楽しい」映画だからなのです。でも小説を読んだからといって全てがわかってしまうというわけでもありません。モノリスを人類の前に出現させた高度な知的生命はやはり人類の知能を超えた存在なのです。

まとめ

『2001年宇宙の旅』は1968年に公開されましたが、1970年台になるとSF映画の名作が次々と制作されます。スティーブン・スピルバーグ監督『未知との遭遇』、ジョージ・ルーカス監督『スター・ウォーズ』、リドリー・スコット監督『エイリアン』などが公開されました。これらの監督が『2001年宇宙の旅』の影響を受けているといっても過言ではありません。

この映画は綿密な科学考証の元に制作され、50年以上も前の作品であるにも関わらず、リアルな宇宙空間の再現や無重力状態を表現しており、宇宙船のデザインも素晴らしく、ディスカバリーのデザインや内部など、今見ても遜色なく、時代を感じさせないクオリティになっています。

内容も人類の進化や人工知能の暴走、モノリスという未知の存在、それを作った人類を超越した知的生命などとても深いテーマを扱っています。特にラストの展開は見るものによっていろいろ解釈ができるでしょう。SF映画好きなら一度は見ておきたい映画ですね。

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